2004年 10月 27日
溝口健二 |
昨年は、小津安二郎の生誕100年ということで、映画ファンの間ではその追悼記念行事が盛り上がっていた。NHKなどもBSで特集を組み、小津の名作を小品にわたるまで取り上げ、放映していた。結構なことだと思う。しかし、小津とほぼ同時期にもう一人の天才がいたことが、今では映画ファンといわれる人の中でも、限られた空間でしか語られないのは残念だ。ことわっておくが、黒澤明のことではない。彼は同時代というにはやや若いし、小津と比べるほどの天才ではない。僕がここで言いたいのは、あの溝口健二のことだ。
溝口の傑作は精緻で完璧ともいえる小津作品とはまた対極で、艶かしいフィルムの震えを溢れさせて日本映画のもうひとつの頂にあるといえる。彼のフィルモグラフィーでは『雨月物語』がことに有名で、これもとてつもない傑作に違いは無いのだけれど、僕は彼の最高傑作としては絶対に『近松物語』を推したい。あの長谷川一夫と香川京子のラブシーンに陶酔できる感性を持ちえたことを喜びたい。この映画こそ、日本映画史上でもっともエロス・タナトスの真髄を撮りあげた傑作中の傑作だと信じている。そして彼こそ日本映画界に君臨する巨匠である。溝口、恐るべし。
追記:『山椒大夫』の、黒い民話としての完成度にも魂をえぐられる思いがした。『西鶴一代女』を早く見てみたい・・・。
溝口の傑作は精緻で完璧ともいえる小津作品とはまた対極で、艶かしいフィルムの震えを溢れさせて日本映画のもうひとつの頂にあるといえる。彼のフィルモグラフィーでは『雨月物語』がことに有名で、これもとてつもない傑作に違いは無いのだけれど、僕は彼の最高傑作としては絶対に『近松物語』を推したい。あの長谷川一夫と香川京子のラブシーンに陶酔できる感性を持ちえたことを喜びたい。この映画こそ、日本映画史上でもっともエロス・タナトスの真髄を撮りあげた傑作中の傑作だと信じている。そして彼こそ日本映画界に君臨する巨匠である。溝口、恐るべし。
追記:『山椒大夫』の、黒い民話としての完成度にも魂をえぐられる思いがした。『西鶴一代女』を早く見てみたい・・・。
by cassavetes69
| 2004-10-27 00:25
| 映画
|
Comments(2)
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ジョシュ・グローバン好き
at 2012-04-18 00:35
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はじめまして、福岡市在住の41才の公務員です。
私も溝口健二監督を敬愛してまして、3年前に東京の池上本門寺にお墓参りに行ってきました。京都に行った際にも溝口健二監督を讃えるために、分骨して大映の永田社長が建てた満願寺のお墓参りには行ってきました。
池上本門寺にあるのが溝口家のお墓です。溝口家のお墓の隣に溝口健二監督の傑作の一つで私が一番好きな『残菊物語』に主演した花柳章太郎さんのお墓があります。
私も溝口健二監督を敬愛してまして、3年前に東京の池上本門寺にお墓参りに行ってきました。京都に行った際にも溝口健二監督を讃えるために、分骨して大映の永田社長が建てた満願寺のお墓参りには行ってきました。
池上本門寺にあるのが溝口家のお墓です。溝口家のお墓の隣に溝口健二監督の傑作の一つで私が一番好きな『残菊物語』に主演した花柳章太郎さんのお墓があります。
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cassavetes69 at 2012-04-22 11:28
ジョシュ・グローバン好きさん、はじめまして。
ご丁寧な自己紹介、ありがとうございます。ブログ手習い期の7年前の戯言にコメントをいただきちょっと恥ずかしいです。
溝口家のお墓参りにも行かれたとのこと、熱心なファンとお見受けしました。宜しくお願いします。
ご丁寧な自己紹介、ありがとうございます。ブログ手習い期の7年前の戯言にコメントをいただきちょっと恥ずかしいです。
溝口家のお墓参りにも行かれたとのこと、熱心なファンとお見受けしました。宜しくお願いします。