2005年 07月 02日
『汚れなき悪戯』 |
そこは教会だった。
クリスチャンでもない僕が教会を訪ねたのは、はじめてのこと。しかもたった一人で。
ずっと待ちわびていた映画を、まさかこんな田舎町の古びた教会で観ることができるという事実に興奮していた。
14歳だった。
不良中学の野球部で、周囲には威張っているくせに、こんな映画を観に来ていることを仲間に知られるのが怖かった。顔見知りの生徒がいても顔を見られないように、照明が落ちてから、暗幕をくぐった。
『汚れなき悪戯』という'55年のスペイン映画。
僧院にマルセリーノという名前の孤児が捨てられた。
マルセリーノは、いたずらっ子で、ある日大きな混乱を招き、ケガ人まで出してしまう。
混乱から逃げているとき偶然出逢った、十字架にはりつけられたキリスト像。
その像のあまりの悲しさと慈悲深さに、マルセリーノはパンと葡萄酒を毎日運び続ける。
そして亡き母への想いを語る。
悲しさと幸福感に挟まれたラストシーンを目の当たりにし、今度は涙を悟られないように、教会を後にした。
この映画を二度と観かえすことはないだろう。
いつまでも、自分の中での特別な映画であって欲しいから。
クリスチャンでもない僕が教会を訪ねたのは、はじめてのこと。しかもたった一人で。
ずっと待ちわびていた映画を、まさかこんな田舎町の古びた教会で観ることができるという事実に興奮していた。
14歳だった。
不良中学の野球部で、周囲には威張っているくせに、こんな映画を観に来ていることを仲間に知られるのが怖かった。顔見知りの生徒がいても顔を見られないように、照明が落ちてから、暗幕をくぐった。
『汚れなき悪戯』という'55年のスペイン映画。
僧院にマルセリーノという名前の孤児が捨てられた。
マルセリーノは、いたずらっ子で、ある日大きな混乱を招き、ケガ人まで出してしまう。
混乱から逃げているとき偶然出逢った、十字架にはりつけられたキリスト像。
その像のあまりの悲しさと慈悲深さに、マルセリーノはパンと葡萄酒を毎日運び続ける。
そして亡き母への想いを語る。
悲しさと幸福感に挟まれたラストシーンを目の当たりにし、今度は涙を悟られないように、教会を後にした。
この映画を二度と観かえすことはないだろう。
いつまでも、自分の中での特別な映画であって欲しいから。
by cassavetes69
| 2005-07-02 18:19
| 映画
|
Comments(10)
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sarah103 at 2005-07-02 22:24
cassavetesさん
この映画を持ってこられるなんて・・・意外な展開です。(勝手ですね)
最後の、奇跡とも呼べるシーンが今もって忘れられません。子供の年が近いのでその姿と重なってしまい、尚更かもしれません。
今日はLuther Vandrossが亡くなり、そしてマルセリーノの面影がちらつく眠れない夜となりそうです。
この映画を持ってこられるなんて・・・意外な展開です。(勝手ですね)
最後の、奇跡とも呼べるシーンが今もって忘れられません。子供の年が近いのでその姿と重なってしまい、尚更かもしれません。
今日はLuther Vandrossが亡くなり、そしてマルセリーノの面影がちらつく眠れない夜となりそうです。
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kitano-shop at 2005-07-02 23:38
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cassavetes69 at 2005-07-02 23:43
sarahさん、コメントありがとうございます。Luther Vandross、亡くなりましたね。特に思い入れの深いアーティストではないのですが残念です。悲しい出来事ですが、最期に花を咲かせることができて良かったと思います。
さてこの映画ですが、小学校のとき「名画ダイジェスト」でストーリーを読み込んでいて、どうしても観たかったんです。ストーリーは知っていても泣きました。
実は見直してしまうと、当時の感覚を維持できないような気がするんです。あれから20年。映画的な感覚も擦れてしまいましたから、想いが変わってしまうような気がするんです。
さてこの映画ですが、小学校のとき「名画ダイジェスト」でストーリーを読み込んでいて、どうしても観たかったんです。ストーリーは知っていても泣きました。
実は見直してしまうと、当時の感覚を維持できないような気がするんです。あれから20年。映画的な感覚も擦れてしまいましたから、想いが変わってしまうような気がするんです。
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cassavetes69 at 2005-07-02 23:46
kitano-shopさんのお宅もですか。
何がご主人の心を捉えたのでしょうね。
僧院の話を教会で観る、という特殊な背景があり、若さも手伝って、厳かな気持ちで向き合いました。
この主題曲も耳に残りますね。
何がご主人の心を捉えたのでしょうね。
僧院の話を教会で観る、という特殊な背景があり、若さも手伝って、厳かな気持ちで向き合いました。
この主題曲も耳に残りますね。
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kitano-shop at 2005-07-03 01:05
「♪お~は~よ~う~ マルセ~リ~ノ お~め~め~を さ~ま~せ~」ですね。時々口ずさんでしまいます。
相方も結構映画好きなんですが、たまに宗教的なところに目がいくようです。先日は「エクソシスト」を観て、何か考え込んでました。
ところで、あの、リンクはらせていただきますね。
なぜか今まで言い出せませんでした。
タイミングを逃していた・・・というよりは、怖かった???
相方も結構映画好きなんですが、たまに宗教的なところに目がいくようです。先日は「エクソシスト」を観て、何か考え込んでました。
ところで、あの、リンクはらせていただきますね。
なぜか今まで言い出せませんでした。
タイミングを逃していた・・・というよりは、怖かった???
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cassavetes69 at 2005-07-03 11:11
kitano-shopさん。再びのご登場ありがとうございます。
「マルセリーノの歌」は音楽の教科書にも載っていましたね。
リンクの件、喜んで。
こちらは以前からはっていますよ。
しかし、「怖かった」とは・・・。
そんなに武闘派、好戦派のイメージがあるんですかねぇ。
究極のロマンチストですよ、私は。
「マルセリーノの歌」は音楽の教科書にも載っていましたね。
リンクの件、喜んで。
こちらは以前からはっていますよ。
しかし、「怖かった」とは・・・。
そんなに武闘派、好戦派のイメージがあるんですかねぇ。
究極のロマンチストですよ、私は。
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sarah103 at 2005-07-03 22:40
cassavetesさん
ロマンチスト発言に安心して、私も便乗してリンク、勝手に貼らせて戴きました。「不良中学の野球部所属」にはちょっとビビッていましたもので。
事後承諾の方、よろしくお願いします。
ロマンチスト発言に安心して、私も便乗してリンク、勝手に貼らせて戴きました。「不良中学の野球部所属」にはちょっとビビッていましたもので。
事後承諾の方、よろしくお願いします。
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cassavetes69 at 2005-07-03 23:00
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流しの者です
at 2008-08-15 17:44
x
某画像掲示板で泣ける映画のアップがあって、この映画を思い出しググってここへ飛んできました。
私が初めて観たのは中学の時、水曜ロードショー。
この時は入院中の六人部屋だったので、泣かなかったと思いますが、とても心に残る映画でした。
2回目は社会人でNHKのBS映画。もぉブワっと泣きましたねぇ。
中学の時は子供目線、大人になると修道士とか親目線なのかなぁ、、、
違った感動だったと思います。
DVD手に入れているのでお盆休み中にまた観てみようかな。。。
思い出すだけで泣けてきます。
では、、、
私が初めて観たのは中学の時、水曜ロードショー。
この時は入院中の六人部屋だったので、泣かなかったと思いますが、とても心に残る映画でした。
2回目は社会人でNHKのBS映画。もぉブワっと泣きましたねぇ。
中学の時は子供目線、大人になると修道士とか親目線なのかなぁ、、、
違った感動だったと思います。
DVD手に入れているのでお盆休み中にまた観てみようかな。。。
思い出すだけで泣けてきます。
では、、、
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cassavetes69 at 2008-08-17 09:33
流しの者、さん。どうも。
とても思い出深い作品のようですね。
私は中2の1回きりしかみていませんが、シーンは今でも鮮明に覚えています。文中にも書いていますが、今観るとこの映画の作品としての質に目が行ってしまうような気がするので、敢えて観ないようにしています。
私も、子供ができると、また一段と涙もろくなったようで困っております。
とても思い出深い作品のようですね。
私は中2の1回きりしかみていませんが、シーンは今でも鮮明に覚えています。文中にも書いていますが、今観るとこの映画の作品としての質に目が行ってしまうような気がするので、敢えて観ないようにしています。
私も、子供ができると、また一段と涙もろくなったようで困っております。