『Sounds...and Stuff Like That』 Quincy Jones |
どれも間違いではないけれども、‘50年代からアレンジャーとしてはもちろん、バンドリーダーとしても活躍し、'60年代からは映画音楽でもコンスタントに佳作を残している。『Ironside』や『Soul Bossa Nova』など、日本でもおなじみの耳に残る作品だけでなく、かつての犯罪映画を引き締める彼の役割は大きかった。
個人的に、Quincy Jonesのソロ名義で一番好きなアルバムが、'78年の
『Sounds...and Stuff Like That』だ。ずいぶん長いこと定番として聴き続けている、きわめて完成度の高い一枚だ。
まず、出演するミュージシャンたちの豪華なこと。すべて挙げるときりがないが、
Herbie Hancock、Michael Brecker、Wah Wah Watson、David T. Walkerなどの実力者が顔を出し、ボーカル陣にもPatti Austinを中心に据えながら、Luther Vandross、Chaka Khanなども名前を並べている。それらファミリーの”構成員”を総動員しながら、おそろしく緻密に幻想的な音世界を創りだしている。
とくに『I'm Gonna Miss You In The Morning』や『Tell Me A Bedtime Story』『Love Me By Name』『Superwoman』などメロウに流れていく曲に、じっくりとつき合って欲しい。どれも重量級ではないが、美しいコーラスとエレピが混ざり合い、静かに、そしてドラマティックに、夢の中へ連れていってくれる。
深まってきた秋の夜にぴったりと寄り添うアルバムだ。紡がれた音の一つ一つに耳を凝らしてみると、新たな出会いがあるかもしれない。