2005年 01月 27日
『Caroline, No』をめぐって |
「Caroline, No (1969)」 Nick De Caro
まだ聴かぬ名曲にめぐり逢いたい一心で、今日は特別に早く家路についた。
よほどのことがなければ帰らない時間帯なのに、気持ちが急いていた。
バッグの中には、買ったばかりのアルバムが一枚、出番を待っている。
僕は習慣として、つねに文庫本をしのばせている。
昨日もエッセイを一冊補充していたので、それを帰りの地下鉄で読むことにした。
その本を読み進め、208ページに行き着いたとき、その内容に驚いた。
======
・・・僕は夕焼けを眺めるためにあてもなく運転をしていた。ラジオからはたまたまブライアン・ウィルソンの名曲『キャロライン・ノー』が流れていた。聴いていたら胸がぐっと熱くなって、しばらくのあいだ言葉が出なくなった。
======
今、まさに、一刻も早く聴きたいと、はやる気持ちを抑えながらバッグに収めているのが、その『Caroline, No』なのだ!僕はその驚きを、誰に伝えることもできず、一人、その偶然にうろたえるしかなかった。
正確に言えば、その『Caroline, No』はブライアン・ウィルソンのオリジナルではなく、ニック・デ・カロの'69年のカバーである。『Happy Heart』の中の一曲。(そういえば、僕の生まれた年だ)
Exciteblogの「Musiquarium」でのリコメンドを受けて、たまらず買ってしまったこの曲、期待を裏切るどころではない。聴いているうちに、静かな、静かな、陶酔に落ちてしまうようなほんとうに美しい曲だった。
そのエッセイはこう続いた。
=======
・・・その歌を聴いているうちに、「今こうして、時間のひとつの大きなかたまりに別れを告げているんだな」という心持ちが自然に生まれ、じわじわと身体全体に広がっていった。初めて『キャロライン・ノー』を耳にしたのは16歳の頃で、そのときは正直に言って曲の良さがよくわからなかった。今ではわかる。しみじみとわかる。そういう具合に僕の20世紀は過ぎていったんだな、と実感した。
=======
村上春樹の言葉だ。
きっと僕も、この曲を聞き込んでいくことになるのだろう。
まだ聴かぬ名曲にめぐり逢いたい一心で、今日は特別に早く家路についた。
よほどのことがなければ帰らない時間帯なのに、気持ちが急いていた。
バッグの中には、買ったばかりのアルバムが一枚、出番を待っている。
僕は習慣として、つねに文庫本をしのばせている。
昨日もエッセイを一冊補充していたので、それを帰りの地下鉄で読むことにした。
その本を読み進め、208ページに行き着いたとき、その内容に驚いた。
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・・・僕は夕焼けを眺めるためにあてもなく運転をしていた。ラジオからはたまたまブライアン・ウィルソンの名曲『キャロライン・ノー』が流れていた。聴いていたら胸がぐっと熱くなって、しばらくのあいだ言葉が出なくなった。
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今、まさに、一刻も早く聴きたいと、はやる気持ちを抑えながらバッグに収めているのが、その『Caroline, No』なのだ!僕はその驚きを、誰に伝えることもできず、一人、その偶然にうろたえるしかなかった。
正確に言えば、その『Caroline, No』はブライアン・ウィルソンのオリジナルではなく、ニック・デ・カロの'69年のカバーである。『Happy Heart』の中の一曲。(そういえば、僕の生まれた年だ)
Exciteblogの「Musiquarium」でのリコメンドを受けて、たまらず買ってしまったこの曲、期待を裏切るどころではない。聴いているうちに、静かな、静かな、陶酔に落ちてしまうようなほんとうに美しい曲だった。
そのエッセイはこう続いた。
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・・・その歌を聴いているうちに、「今こうして、時間のひとつの大きなかたまりに別れを告げているんだな」という心持ちが自然に生まれ、じわじわと身体全体に広がっていった。初めて『キャロライン・ノー』を耳にしたのは16歳の頃で、そのときは正直に言って曲の良さがよくわからなかった。今ではわかる。しみじみとわかる。そういう具合に僕の20世紀は過ぎていったんだな、と実感した。
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村上春樹の言葉だ。
きっと僕も、この曲を聞き込んでいくことになるのだろう。
by cassavetes69
| 2005-01-27 19:56
| 音楽
|
Comments(4)
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show_zono at 2005-01-27 21:51
あるものですね。こんな恐ろしいことが。
Nick De Caroによる「Caroline, No (1969)」はSoul Music以外で私自身が初めて言葉を寄せる決意をした曲。それを1000Km以上離れた場所で数多くのブログの中から取り出して呼んでいただける方。待っていたかのように後押しする村上春樹氏の文章。
cassavetes69さん、あなたはどうやら「Caroline, No」に出会うことになっていたようですね。
この曲は間違いなく、あなたの人生が終わるまで美しい曲であり続けるでしょう。
PS
私にはこの曲を形容するボキャブラリーはありませんでしたが、村上春樹氏は流石です。
Nick De Caroによる「Caroline, No (1969)」はSoul Music以外で私自身が初めて言葉を寄せる決意をした曲。それを1000Km以上離れた場所で数多くのブログの中から取り出して呼んでいただける方。待っていたかのように後押しする村上春樹氏の文章。
cassavetes69さん、あなたはどうやら「Caroline, No」に出会うことになっていたようですね。
この曲は間違いなく、あなたの人生が終わるまで美しい曲であり続けるでしょう。
PS
私にはこの曲を形容するボキャブラリーはありませんでしたが、村上春樹氏は流石です。
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cassavetes69 at 2005-01-28 00:25
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by
ina17ina at 2005-02-22 03:38
え!!
し、知らなかった・・・・。Caroline, No はカヴァーだったなんて・・・。
すっかりだまされた気分です。←だれにだ?
心の一枚に挙げていただけにショック多きボンド・・・。
また cassavetes69様マジックのため無駄使いしちゃうじゃないですか!!
最近怖いくらい影響下にいる自分・・・。
PS.アフター・アワーズまだみつからないです。
し、知らなかった・・・・。Caroline, No はカヴァーだったなんて・・・。
すっかりだまされた気分です。←だれにだ?
心の一枚に挙げていただけにショック多きボンド・・・。
また cassavetes69様マジックのため無駄使いしちゃうじゃないですか!!
最近怖いくらい影響下にいる自分・・・。
PS.アフター・アワーズまだみつからないです。
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cassavetes69 at 2005-02-22 23:34
『アフター・アワーズ』、結構ありますけどね。時計に男の顔がくっついている、絵で描かれたパッケージですよ。