2011年 05月 22日
Henri Cartier-Bresson Le tir photographique |
木曜日の午後から妻が寝込んでしまった。原因不明の動悸、息切れ、めまいらしい。
金曜日は幼稚園の遠足だったのだが、親の同伴が必要なため、我が家の双子は涙をのんで欠席することとなった。すすり泣く息子と、気丈に振舞う娘の姿に親心は打ち震え、僕はこの週末に二人の遊び相手に徹することを約束した。
実はこのところ、少しだけ忙しい。いや、忙しくしてしまった。
あれもこれもと首を突っ込んでは安請け合いして、預かった仕事が山積してしまった。金曜日の夜更けに家路につくときには、疲労とストレスでいつものモデル歩きもろくに出来ない状況だった。
子供達との約束もあるが、まずは自分のケアが先決だ。アニメ『スポンジ・ボブ』の登場人物イカルドにあやかって、「自分を甘やかすのだ」という素敵なフレーズを呟いてみる。
双子を引き連れ、カフェで朝食を摂る。パストラミ・サンドにかぶりついて、淹れたてのコーヒーを飲む。微笑がこぼれ、傍からみたら理想的な父子の光景である。
次は買い物で、ストレスを軽減させよう。とあるイベントに向けて、リゾート風味の紺ジャケットとシャツ、麻のストールを購入した。スーツのパンツも、丈とダブルの折り返し幅を微調整した。だいぶ機嫌が良くなる。
続いては三人で行きつけの美容室に行って、髪をばっさりと切る。若い女性に髪を洗ってもらいながら、ウトウトする。自分でやれることを人にやってもらうのは、気持ちがいい。仕上がりを鏡で見たら、なんとなく漁民っぽい佇まいになっていたが、そのくらい目を瞑ろう。きっと太陽のせいだ。
仕上げはマッサージだ。近所にオープンしたボディ・ケアの店で60分間、入念にコリをほぐしてもらう。あまりの気持ちのよさに、気づいたらウトウトと、浅い眠りに落ちていた。
日付が替わった深夜に帰ってくるが、双子はまだ起きている。「遊ぼうよ」とまとわりつくのを払いのけ、安いスコッチウイスキーに手を伸ばす。
こういう夜は、難しい本はやめて、写真でも眺めよう。
『アンリ・カルティエ=ブレッソン ―20世紀最大の写真家』のページをめくりながら、スコッチをチビチビとなめる。「決定的瞬間」という言葉(作品)の生みの親である。ジャン・ルノワール監督作品の助監督を務めていたというだけで以前から親しく感じていたが、作品集と来歴を追うと、もっと掘ってみたくなった。
いよいよ日曜の深夜になった。ほろ酔いで、今週はじめての映画を観ることにする。
双子との約束を果たせたかは怪しいものだが、充分、自分を甘やかすことには成功した。
金曜日は幼稚園の遠足だったのだが、親の同伴が必要なため、我が家の双子は涙をのんで欠席することとなった。すすり泣く息子と、気丈に振舞う娘の姿に親心は打ち震え、僕はこの週末に二人の遊び相手に徹することを約束した。
実はこのところ、少しだけ忙しい。いや、忙しくしてしまった。
あれもこれもと首を突っ込んでは安請け合いして、預かった仕事が山積してしまった。金曜日の夜更けに家路につくときには、疲労とストレスでいつものモデル歩きもろくに出来ない状況だった。
子供達との約束もあるが、まずは自分のケアが先決だ。アニメ『スポンジ・ボブ』の登場人物イカルドにあやかって、「自分を甘やかすのだ」という素敵なフレーズを呟いてみる。
双子を引き連れ、カフェで朝食を摂る。パストラミ・サンドにかぶりついて、淹れたてのコーヒーを飲む。微笑がこぼれ、傍からみたら理想的な父子の光景である。
次は買い物で、ストレスを軽減させよう。とあるイベントに向けて、リゾート風味の紺ジャケットとシャツ、麻のストールを購入した。スーツのパンツも、丈とダブルの折り返し幅を微調整した。だいぶ機嫌が良くなる。
続いては三人で行きつけの美容室に行って、髪をばっさりと切る。若い女性に髪を洗ってもらいながら、ウトウトする。自分でやれることを人にやってもらうのは、気持ちがいい。仕上がりを鏡で見たら、なんとなく漁民っぽい佇まいになっていたが、そのくらい目を瞑ろう。きっと太陽のせいだ。
仕上げはマッサージだ。近所にオープンしたボディ・ケアの店で60分間、入念にコリをほぐしてもらう。あまりの気持ちのよさに、気づいたらウトウトと、浅い眠りに落ちていた。
日付が替わった深夜に帰ってくるが、双子はまだ起きている。「遊ぼうよ」とまとわりつくのを払いのけ、安いスコッチウイスキーに手を伸ばす。
こういう夜は、難しい本はやめて、写真でも眺めよう。
『アンリ・カルティエ=ブレッソン ―20世紀最大の写真家』のページをめくりながら、スコッチをチビチビとなめる。「決定的瞬間」という言葉(作品)の生みの親である。ジャン・ルノワール監督作品の助監督を務めていたというだけで以前から親しく感じていたが、作品集と来歴を追うと、もっと掘ってみたくなった。
いよいよ日曜の深夜になった。ほろ酔いで、今週はじめての映画を観ることにする。
双子との約束を果たせたかは怪しいものだが、充分、自分を甘やかすことには成功した。
by cassavetes69
| 2011-05-22 23:02
| 本
|
Comments(4)
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rosalind11 at 2011-05-27 15:57
奥様の具合はいかがですか?お大事になさってくださいね。
アンリ・カルティエ・ブレッソンの展覧会で、彼と木村伊兵衛のネガのベタ焼きの比較が面白かったのを思い出しました。「決定的瞬間」の構図を見つめ、息をひそめる空気を感じました。瞬間の中のそのまた瞬間、どのネガが選ばれたか興味深かったです。ポートレートもいいですね、雨の中の寒そうなジャコメッティや、神経質そうなカポーティ、とても印象的です。
アンリ・カルティエ・ブレッソンの展覧会で、彼と木村伊兵衛のネガのベタ焼きの比較が面白かったのを思い出しました。「決定的瞬間」の構図を見つめ、息をひそめる空気を感じました。瞬間の中のそのまた瞬間、どのネガが選ばれたか興味深かったです。ポートレートもいいですね、雨の中の寒そうなジャコメッティや、神経質そうなカポーティ、とても印象的です。
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kanamarie at 2011-05-29 02:48
遠足…。
>すすり泣く息子と、気丈に振舞う娘の姿に親心は打ち震え、
私も想像するだけで打ち震えてしまいました。
でも子供にとっては遠足より母親が心配なんですよね…。
早く良くなられますように…。
あ、私でよければいつでも代わりに出張しますよ。
メリー・ポピンズ=marie 呼んで下さいね(笑)
>すすり泣く息子と、気丈に振舞う娘の姿に親心は打ち震え、
私も想像するだけで打ち震えてしまいました。
でも子供にとっては遠足より母親が心配なんですよね…。
早く良くなられますように…。
あ、私でよければいつでも代わりに出張しますよ。
メリー・ポピンズ=marie 呼んで下さいね(笑)
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cassavetes69 at 2011-05-30 01:22
rosalind11さん、妻は大事はなかったのですが、相変わらず「きつい」を連発しております。昨朝も今朝もなかなか起きてきませんでした。
単に、遠足で日焼けをしたくないためだけではなかったか?と訝る自分もいますが、まあ、そこは・・・。
30年ほど前でしょうか。芸術とは無縁の母が、『LIFE』誌の歴史をまとめた高価な写真集を買ったことがあります。今思えば、そのなかに、アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真が相当数掲載されていたことが判ります。
母の『LIFE』誌の写真集は、20年ほど前にカメラマンであった友人が借りていったままかえって来ません。その友人は5年以上、ずっと引きこもっているときいています。
どちらからでもいいから、再会したいものです。
単に、遠足で日焼けをしたくないためだけではなかったか?と訝る自分もいますが、まあ、そこは・・・。
30年ほど前でしょうか。芸術とは無縁の母が、『LIFE』誌の歴史をまとめた高価な写真集を買ったことがあります。今思えば、そのなかに、アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真が相当数掲載されていたことが判ります。
母の『LIFE』誌の写真集は、20年ほど前にカメラマンであった友人が借りていったままかえって来ません。その友人は5年以上、ずっと引きこもっているときいています。
どちらからでもいいから、再会したいものです。
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cassavetes69 at 2011-05-30 01:28
kanamarieさん、打ち震える気持ち、判っていただけるでしょうか。
結果、週末の約束は空手形をきっただけでした。
子供たちも、「こんど遊園地に連れて行くぞ」という交換条件を出したら、予想以上にすんなりと受け入れてくれました。仰せのように双子が母親を心配していたのかは怪しいものです。特に娘は・・・。
『メリー・ポピンズ』についても、幼い頃の思い出を大切にしたいので、出張要請は慎んで辞退させていただきます。
結果、週末の約束は空手形をきっただけでした。
子供たちも、「こんど遊園地に連れて行くぞ」という交換条件を出したら、予想以上にすんなりと受け入れてくれました。仰せのように双子が母親を心配していたのかは怪しいものです。特に娘は・・・。
『メリー・ポピンズ』についても、幼い頃の思い出を大切にしたいので、出張要請は慎んで辞退させていただきます。