『Thank You For Talkin' To Me Africa』 Sly & the Family Stone |
やっぱり、そんなはずないよな。
予想を尋ねられたときに、「良くて0-1で負けでしょう」と偉そうに応じていたものの、いざ予想通りに負けると腹が立つ。『グラン・ブルー』のジャン=マルク・バールのような佇まいの、スナイデルにしてやられた。
しかしオランダと言う国は、あの「空飛ぶオランダ人」と言われたヨハン・クライフの国なのだ。現役時代のクライフのあの常人離れしたスピードを知ってからというもの、僕の中ではいまだに一番のカリスマ的プレイヤーだ。あんな人を生み出した国なのだから、この負けは仕方がないと考えよう。
さて、南アフリカでのワールドカップにちなんで、今日はSly & the Family Stoneの、
『Thank You For Talkin' To Me Africa』をお届けする。
僕自身、Sly & the Family Stoneの音楽にかなり影響を受けているのも事実だが、実はこの曲を選んで聴いたのはもうひとつ理由がある。前にも記事にした「Schola」で、前回YMOの3人+小山田圭吾が演奏したこの曲が実に格好よかったのだ。この番組で深く触れ、考えさせられた「グルーヴ」というものを体現した演奏だった。
昨夜最終回だった坂本龍一による「Schola」は、毎週、本当に面白くて楽しみだった。ゲストたちの言葉も、毎回、名言に溢れていた。
山下洋輔は、Miles Davisにリスペクトを込めながら「下手くそだからバップについていけなかったんだ」と言い切り、そのコンプレックスがモード・ジャズという方法論につながったことを示唆した。
細野晴臣が最も影響を受けたベーシストとして、真っ先にChuck Raineyを挙げていたことも嬉しかった。このChuck Raineyのベースを昨年は生で聴くことができて(今年もそろそろやってくる)確かに”グルーヴ”を感じたのだから、僕も恵まれている。
ほかにも、ひとつひとつ考え抜いて、やり抜いてきた人たちだけに許される言葉が並んでいた。音楽をグローバルに、歴史的に俯瞰して捉える一方で、技術的、数学的にミクロ視点でのマニアぶりが徹底している。
還暦を間近に控えたYMOの面々が「この年にならないとできない音楽がある」と照れながら、でも力強く言い切る姿にはジンときた。僕のような中途半端な人間が、音楽の道などに進まなくて本当に良かった。「才能」と「探求し続ける力」の双方を異常なレベルで持ち合わせた人だけが、芸術やスポーツといった残酷な世界に棲むことを許されるのだろう。
坂本氏の音の海に沈み込む様なピアノの弾き方にも感銘を受けましたし、
YMO+小山田圭吾の組み合わせめちゃかっこ良かったですね。
職人がかったドラム、抜け感たっぷりのベース、
小山田圭吾も忘れていたわけではないですが、再度興味を持ちました。
昨晩の細野氏の「走るのがおもしろくて仕方ない・・・。」とか。
音楽を長い間、真剣にやってきたからこその境地なのでしょうね。
日頃感覚的に使っている、「リズム」「メロディ」「グルーヴ」「シンコペーション」のような言葉を、きちんと定義してくれたことだけとっても有難い番組でした。