2008年 11月 15日
紳士の条件 |
先月、気まぐれに買った雑誌「GQ」で、”紳士”の特集を組んでいた。
おそらく、この雑誌の描く理想像はジョージ・クルーニーあたりだろうとなんとなくイメージしながら、ページをめくった。(予想は外れておらず、ハリウッド・セレブの紳士化が進行中という記事でのトップはやはりジョージ・クルーニーだった。)
そのなかで、「新・紳士の十ヵ条」なるものがアート・ディレクターの佐藤可士和によって提言されていたので、ここにつまみ出してみよう。
つまらん。
あたりまえ、と言えばそうだし、抽象的で、なんだかよくわからないのだ。「立派な人」を文部科学省が定義したみたいな表現だ。紳士とは聖人君子のことなのか。気鋭のアート・ディレクターも、言葉になるとこの程度にしかデザインできないのか。
そこにいくと、「元祖・紳士の十ヵ条」とも言うべき、山口瞳版の方が半世紀も前に書かれていながら、具体的で本質を突いている。
こちらの方が条件をイメージしやすく、「こうなりたい」という気持ちにさせてくれる。
11番なんか味があっていいし、確かにそうだと頷かせてくれる。
おこがましいが、自分に当てはまる条件を考えてみたが合うものは殆んどない。
もともと育ちが悪く、なれっこない。「結婚して子供がいる」くらいだ。
西欧だと、色々な顔や名前が頭をよぎるのだが、日本人で思い浮かべると、これがなかなかいない。月並みだが、白洲次郎の颯爽とした姿が浮かぶくらいだ。
佐藤版は置いておくとして、山口版の条件を白洲はほぼ完璧に、いや過剰なまでに満たしている。”紳士的”というと一般的にソフトなイメージで伝えられるが、すべての条件を満たした白洲は、一方で「野人」と言われたように究極の頑固者であり、非常にハードな人当たりでも知られる。案外そういうものかもしれない。”紳士的”と”紳士”はきっと別物なのだ。
おそらく、この雑誌の描く理想像はジョージ・クルーニーあたりだろうとなんとなくイメージしながら、ページをめくった。(予想は外れておらず、ハリウッド・セレブの紳士化が進行中という記事でのトップはやはりジョージ・クルーニーだった。)
そのなかで、「新・紳士の十ヵ条」なるものがアート・ディレクターの佐藤可士和によって提言されていたので、ここにつまみ出してみよう。
1.品があること 2.コミュニケーションセンスがあること 3.思考を整理できること 4.常識があること 5.家族を愛し、愛されていること 6.プロフェッショナルであること 7.感情がコントロールできること 8.グローバルに活動できること 9.自分を知っていること 10.潔いこと
つまらん。
あたりまえ、と言えばそうだし、抽象的で、なんだかよくわからないのだ。「立派な人」を文部科学省が定義したみたいな表現だ。紳士とは聖人君子のことなのか。気鋭のアート・ディレクターも、言葉になるとこの程度にしかデザインできないのか。
そこにいくと、「元祖・紳士の十ヵ条」とも言うべき、山口瞳版の方が半世紀も前に書かれていながら、具体的で本質を突いている。
1.ユーモアを解すること 2.知識が該博であること(話題豊富な人) 3.国際的感覚のあること(外国語に通じていること)。 4.ベストドレッサーであること 5.女性に人気のあること(女あつかいのうまい人)。 6.相当な資産、または収入のある人 7.上品な趣味をもつこと 8.礼儀作法を身につけていること 9.結婚して子供がいるか、あるいは結婚の経験がある人。 10.己に対して厳格であること(弱みをみせぬこと、愚痴を言わない人) 11.なにか欠点をもつこと(そしてその欠点が人から愛されるものであること)。
こちらの方が条件をイメージしやすく、「こうなりたい」という気持ちにさせてくれる。
11番なんか味があっていいし、確かにそうだと頷かせてくれる。
おこがましいが、自分に当てはまる条件を考えてみたが合うものは殆んどない。
もともと育ちが悪く、なれっこない。「結婚して子供がいる」くらいだ。
西欧だと、色々な顔や名前が頭をよぎるのだが、日本人で思い浮かべると、これがなかなかいない。月並みだが、白洲次郎の颯爽とした姿が浮かぶくらいだ。
佐藤版は置いておくとして、山口版の条件を白洲はほぼ完璧に、いや過剰なまでに満たしている。”紳士的”というと一般的にソフトなイメージで伝えられるが、すべての条件を満たした白洲は、一方で「野人」と言われたように究極の頑固者であり、非常にハードな人当たりでも知られる。案外そういうものかもしれない。”紳士的”と”紳士”はきっと別物なのだ。
by cassavetes69
| 2008-11-15 09:52
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Comments(2)
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sarah103 at 2008-11-15 21:45
きましたか、白洲次郎。平和な時代には生き難かったであろうといわれたインパクトのある人物像が伝えられますが、洒脱な紳士そのもの、魅力的です。
>つまらん。
バッサリ、ですね(笑)同じく。
明日から仕事でまたロードですが、“プリンシプルのない日本(人)”と落胆されないよう真剣勝負で臨みたいと思います。
先日書いた記事を白洲つながりでTBさせていただきました。事後承諾のほど、よろしくお願いします。
>つまらん。
バッサリ、ですね(笑)同じく。
明日から仕事でまたロードですが、“プリンシプルのない日本(人)”と落胆されないよう真剣勝負で臨みたいと思います。
先日書いた記事を白洲つながりでTBさせていただきました。事後承諾のほど、よろしくお願いします。
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cassavetes69 at 2008-11-16 00:33
sarahさん。TB&コメントありがとうございます。
白洲正子が驚くほどかぶっていたのと、紳士特集で白洲次郎を思い浮かべたこと、また、最近某総理大臣系の会社の商談室に言ったら白洲次郎のポスターが飾られていたこと(吉田茂つながりですかね)で、次郎について久しぶりに触れようと思いました。
私は90年代初めに白洲夫妻のことを知り、それからずっと強い影響下にあります。お互いに距離を保ちつつ尊敬しあっているという関係、共に日本的な感覚を尊重しながら、大西洋的な文化を深く理解していたことに畏敬の念を抱きます。
※しかしこの特集では、sarahさんも以前触れられていた杉原千畝にも言及していたので、質は高かったです。
Turnbull&Asserのタグを引用したのも、次郎が愛したシャツだからです。私などがこの夫妻の次元に到達するには、このあと何代も生まれ変わる必要がありそうです。
白洲正子が驚くほどかぶっていたのと、紳士特集で白洲次郎を思い浮かべたこと、また、最近某総理大臣系の会社の商談室に言ったら白洲次郎のポスターが飾られていたこと(吉田茂つながりですかね)で、次郎について久しぶりに触れようと思いました。
私は90年代初めに白洲夫妻のことを知り、それからずっと強い影響下にあります。お互いに距離を保ちつつ尊敬しあっているという関係、共に日本的な感覚を尊重しながら、大西洋的な文化を深く理解していたことに畏敬の念を抱きます。
※しかしこの特集では、sarahさんも以前触れられていた杉原千畝にも言及していたので、質は高かったです。
Turnbull&Asserのタグを引用したのも、次郎が愛したシャツだからです。私などがこの夫妻の次元に到達するには、このあと何代も生まれ変わる必要がありそうです。