『Straighten It Out』 Latimore |
アーティストとの新たな出会いに思いをめぐらし、一枚ずつ買い足していく楽しみを損なうのがもったいないからだ。
しかし、仕方がない場合もある。
当時、これしか手に入らなかったのだ。
Latimoreのベスト盤、『Straighten It Out』 。
野性味と繊細さが共存するサザンソウルだ。
'70年代の音楽と空気感に思い入れのある身からすると、Latimoreの曲はじんと響く。
Al Kooperが、かのQuincy Jonesの娘に捧げた佳曲、『Jolie』。
数多くのカヴァーを抱えるこの曲、原曲に忠実なこのLatimore盤もAl自身のプロデュースだ。
タイトルの響きも素敵な『Sweet Vibrations』。
この曲はUAが、しっとりとカヴァーしたことでも知られる。
『Somethin' Bout Cha』『I Get Lifted』も、男臭さを発散しつつ、ホロリと泣かせる。
この季節、Latimoreの引き締まった歌を耳にすると、一人でトレンチコートの襟を立て、身を切られるような、冷たい夜の空気に曝されたい心持ちになる。
寒いし、恥ずかしいからそんなことはしないが。