『Fire On Ice』 Terry Callier |
彼のアルバムの中でも、とりわけ思い入れの深い一枚、『Fire On Ice』を。
このアルバムが発表された'78年は、僕の黒人音楽の好みとしては微妙な時期に入ってくるのだが、最近、妙にこの時期のアルバムに吸い寄せられてしまうのは僕の中の変化なのだろうか。
『Holdin'On(To Your Love)』のデリカシーのある優しさ。
『Butterfly』に認められる霊的な音の拡がり。
そして、自然崇拝的なTerry Callierの世界観に浸かれる佳曲、『African Violet』。
影を引きずる、深い曲たちが並ぶ。
その闇のあと、湖畔の朝もやに溶け込むような、鳥のさえずりが静寂を破って聴こえてくる。
-Minnie Reppertonだ。
光と闇、火と氷の間を揺れ動く、絶妙なバランス。
添い遂げたくなるくらい、美しいアルバムだ。