2012年 01月 29日
ホットカーペットの上で双子は不貞寝をしている。僕にこっぴどく叱られて、さっきまで揃って泣いていたのだ。
僕はいまどきの親では珍しいくらい、よく子供たちを怒鳴りつける。息子だろうが娘だろうが手加減なしだ。
最近、人に怒鳴られた経験がまったくない20歳代の若者が、初めて仕事で怒鳴られてパニックから酸欠になっているシーンに出くわすことがあった。親や教師や先輩からも怒鳴られたことがないというから、おめでたい。仕事場の同僚たちに聴いても、子どもを叱ったことがないというヤツも何人かいる。
これでも僕は子供たちの将来を想って、怒鳴りつけているのだ。決して二日酔いでキツイからとか、妻にいびられてイライラしているからとか、そんな身勝手な理由ではない。うむ、断じてそうではない。
娘トレイシーは僕の性格に酷似していて、計算高く、したたかなのであまり心配していないのだが、繊細でナイーヴ過ぎる息子マークにはもっとサバイバル社会への強靭な適応力が必要なのかもしれないと思っている。

本音で言うが、人としての品性においてはすでに我が息子は、僕や妻をはるかに凌駕している。人間として最後に目指すべきはこういう心根なのだろうな、と感心することが多い。僕が街中でトラブルになりそうなシーンでも、息子になだめられて救われたことがある。新しい電化製品の取り扱いに手間取って、モノに八つ当たりしはじめた僕の横で、トリセツを読み込んで正しい設定方法を教えてくれるのも彼である。
今年の初詣。近所の神社でそれぞれに願いごとを託して参拝をしたのだが、息子だけは何を願ったのか聴いても「教えたくない」と頑なに口を閉ざして明かしてくれなかった。秘め事が多いのも彼の特徴なので、あきらめることにした。
後日、めずらしく妻が微笑みながら「あの子は何を神様にお願いしたのだと思う?」と聴くので、「ゲームが欲しい」とか「小学校で友達が欲しい」とかのありきたりの答えを返していたのだが、どれも違うという。
「あの子の願いは、”パパがお酒の飲みすぎで死にませんように”だってよ」
僕は心で泣いた。6歳の息子の一年に一度の祈りが、自分の欲望のためではなくこの僕の健康を案ずるものだったのだ。僕は息子に心配をかけた自分の不甲斐なさを恥じると共に、その優しさが心を潤わせた。
その夜のお酒が、ひときわおいしく胃の腑に沁みたことはいうまでもない。
僕はいまどきの親では珍しいくらい、よく子供たちを怒鳴りつける。息子だろうが娘だろうが手加減なしだ。
最近、人に怒鳴られた経験がまったくない20歳代の若者が、初めて仕事で怒鳴られてパニックから酸欠になっているシーンに出くわすことがあった。親や教師や先輩からも怒鳴られたことがないというから、おめでたい。仕事場の同僚たちに聴いても、子どもを叱ったことがないというヤツも何人かいる。
これでも僕は子供たちの将来を想って、怒鳴りつけているのだ。決して二日酔いでキツイからとか、妻にいびられてイライラしているからとか、そんな身勝手な理由ではない。うむ、断じてそうではない。
娘トレイシーは僕の性格に酷似していて、計算高く、したたかなのであまり心配していないのだが、繊細でナイーヴ過ぎる息子マークにはもっとサバイバル社会への強靭な適応力が必要なのかもしれないと思っている。

本音で言うが、人としての品性においてはすでに我が息子は、僕や妻をはるかに凌駕している。人間として最後に目指すべきはこういう心根なのだろうな、と感心することが多い。僕が街中でトラブルになりそうなシーンでも、息子になだめられて救われたことがある。新しい電化製品の取り扱いに手間取って、モノに八つ当たりしはじめた僕の横で、トリセツを読み込んで正しい設定方法を教えてくれるのも彼である。
今年の初詣。近所の神社でそれぞれに願いごとを託して参拝をしたのだが、息子だけは何を願ったのか聴いても「教えたくない」と頑なに口を閉ざして明かしてくれなかった。秘め事が多いのも彼の特徴なので、あきらめることにした。
後日、めずらしく妻が微笑みながら「あの子は何を神様にお願いしたのだと思う?」と聴くので、「ゲームが欲しい」とか「小学校で友達が欲しい」とかのありきたりの答えを返していたのだが、どれも違うという。
「あの子の願いは、”パパがお酒の飲みすぎで死にませんように”だってよ」
僕は心で泣いた。6歳の息子の一年に一度の祈りが、自分の欲望のためではなくこの僕の健康を案ずるものだったのだ。僕は息子に心配をかけた自分の不甲斐なさを恥じると共に、その優しさが心を潤わせた。
その夜のお酒が、ひときわおいしく胃の腑に沁みたことはいうまでもない。
















































